漆喰を使ったDIYを行うにあたって、どのようなことに気を付けていけばいいのでしょうか。
漆喰に興味はあるけど、DIYで使うには実際のところどうなのか。
気になる情報収集の一環として参考にどうぞ。
漆喰と珪藻土の違い
漆喰や珪藻土などの自然素材由来の材料は、生活の中に柔らかく溶け込む感じがいいですよね。
自分で塗ることはなくても、さりげなくお店の壁面で使われていたり、雑貨にも使われていることも多いです。
少量のボトルの塗料で100円ショップに置いている場合もあります。
さらに自然な塗り壁として取り上げられる代表格でもあります。
雰囲気は似ていますが、それぞれの素材は別物で、得意分野は違います。
漆喰 | 珪藻土 | |
---|---|---|
材料 | 消石灰。もとは石から成る。 | 土。もとはプランクトンの死がいなどからできた堆積物。 |
使える場所 | 外壁でも使える | 内装のみ |
固まり方 | 硬化性が高い。固めるための混ぜ物なしで自ら二酸化炭素と反応して硬化していく。 | 石灰やセメント、粘土、合成樹脂などを混ぜて固める必要がある |
特徴 | 防火性 脱臭 抗菌作用 調湿効果 強アルカリ性のためカビが生えにくい 堅牢性(強度が高い) 丈夫で長持ちする | 断熱性能 耐火性 脱臭性能 調湿効果は漆喰よりも高い 水や衝撃に弱い 耐用年数は漆喰よりも低いが、使われている素材により異なる |
よく使われている場所 | 外壁、内壁などはもちろん、水周りでも使える | 七輪、釜戸、レンガ、コースターやマッドなど |
施工に関すること | 自然由来の材料のみで施工できるが、乾燥時間がとられるなど、施工に時間がかかる。 下地作りがしっかりしていないと、ひび割れなどが起こる | 価格が漆喰よりも安め 施工に時間がかかる |
特徴は似ている部分もありますが、大きな違いは固まり方。珪藻土は固く硬化させるためには別の素材の力を借りる必要があります。その配合はメーカーによって様々。
一方、漆喰は空気中の二酸化炭素と反応して他の素材を混ぜなくても自分で勝手にガチガチに固まっていきます。
しかも年数を経ることに強度も増していく・・というわけで、古来から城壁や蔵で使われていたのも納得の話です。強アルカリ性のためある程度の自浄作用もあります。
調湿性能の面だけで捉えれば、珪藻土の方が優秀といえますが、抗菌作用や強度面を見てみれば、漆喰に軍配が上がります。
白黒つけるようなことではなく、環境に合わせた選び方で取り入れるのが得策でしょう。
漆喰ができるまでの過程
ここで漆喰について詳しく取り上げたいと思ったのは、強固な材料に仕上がるまでの話が、とても興味深かったからです。
石灰石→1000度で加熱で「生石灰(酸化カルシウム)」に→水を加えると砕けて「消石灰」に→糊とスサを加えると「しっくい」に→乾燥して水が蒸発して二酸化炭素と反応して石灰石(炭酸カルシウム)へ
基本的に自然にあるもので成り立ってしまう公式。
二酸化炭素を吸収しながら強固になっていくうえに、循環型の材料だったということを知って衝撃をうけたんですよね。いろんな成分を含んだ建材が出回っているこの時代に、そんな自然材料が成り立ってしまうことがあったのかと。
漆喰が使われている場所は、城壁や蔵などが有名です。強固な壁を築いてきた歴史がすべてを物語っているといえるでしょう。
漆喰は、空気中に漂う二酸化炭素でどんどん強くなれる・・!
使用に関して現実的に気になること
良さげな素材であるということを理解できたとしても、それでは家の壁を・・と、大きな面積をいきなり手掛ける猛者は、少ないのではないでしょうか。
わからないことがあると、本当に使っていいものか不安なもの。
そのままにしていても何も変わらないので、実際に自分の生活に取り入れるハードルはどういったものがあるか、ひとつずつ確認することから始めてみましょう。
- メンテンナンス性・・掃除方法や耐用年数はどうなのか?
- 金銭的に高すぎることはないか
- 処分とか家庭で出来る範囲なの?
漆喰を取り入れるメリット
珪藻土と比較すると、ちょっと高いとか吸湿性能がちょっと足りないとかありますが、二酸化炭素を吸収してくれるという面や丈夫さについては漆喰に軍配があがります。
漆喰を使うデメリット
どれくらい長持ちするかについては、施工の仕方やメンテナンスのやり方、使い方にもよるところがあるので、断定した数字で出すことは難しいです。
耐用年数から考えてみる
ビニールクロスの耐用年数のあえての目安とするなら、10年~15年。
ビニールクロスの耐用年数は「10〜15年」しかありません。
時間が経つにつれて黄ばみが出たり、継ぎ目が剥がれたりしてしまいます。
汚れやクロスの剥がれが気になる場合は「10年」程で貼り替えリフォームを行うことが一般的です。
ビニールクロスとは?特徴やメリットについて紹介 – 左官建材マガジン by ヤブ原産業
対して漆喰の耐用年数は、一般的には100年以上と言われています。
漆喰の耐用年数は一般的には100年以上とされています。ただし、これは適切なメンテナンスが行われた場合の目安であり、実際の耐用年数は使用状況や環境によります。
これらの数値はあくまで目安であり、定期的なメンテナンスが重要です。
漆喰(しっくい)の耐用年数は100年!特徴や施工費用を徹底解説!│外壁塗装パートナーズ
正しく施工されていて、メンテナンスも定期的に行われている状態であれば、一般的なビニールクロスを使うよりも圧倒的に丈夫で長持ちする、と言えるのが漆喰。
施工不良でアクがにじみ出てきたり、ひび割れを起こす場合もありますが、正しい知識を得たうえで使っていくなら、こんなすごい素材を使わない選択肢はを持たないのはもったいない気もします。
費用はどれくらいかかるのか
慣れないことをするので、時間もそれなりに費やすことを覚悟してください。また、自分でDIYする場合はどういったものが必要かリストアップし、チェックリストを作ってみるとよいでしょう。
漆喰を塗るときに必要な道具
このほかにも、漆喰を塗る前に掃除するための洗剤や、シーラーを塗装するときに使うローラー、受け皿、刷毛などを使います。
DIYで使う道具類をいくつか持っている場合もあると思うので、基本的に大きな出費になるのは、シーラーと漆喰を塗るための道具がポイントになってくるでしょうか。
しかしコテは種類が多くて、どういったものが使いやすいのかわからないんですよね。初めてなら特に。
道具の選び方は手の大きさや筋力次第なところもありますし、一概にプロ仕様だからいいとも言い切れないから難しい。人によって使いやすさも違いますし、何個も買って試すというもの、そこまでやる・・?っていう気持ちになりますし。
そういった場合は、とりあえず道具もついてくるお試しセットがおすすめです。
お試しキットにはプラスチック製のコテが入ってくるんですが、軽くて私はとても使いやすいかったですよ。漆喰そのものが、わりと重量感あります。
モッタリしてる質感に慣れるまで、ちょっと時間かかるし。
そこに加えてコテまで重いと、壁に垂直に押し付けながら塗っていくとなると腕が怠くなるのが早いんじゃないかと思いました。
小回りの利くサイズ感も絶妙だったので、とりあえずこういうのを使ってみるといいよと、専門家からの後押しをもらえるのは有難かったです。
また、公式サイトで作業の段取りを見ながら準備を進めていくとだいぶイメージが掴みやすいです。
100%オーガニックの漆喰のNURI2の公式サイトではLINEでプロのサポートを受けることもできます。ぜひ気になる心配事は減らしたうえで、DIYを進めていきましょう。
DIYでは無理をしない
DIYは向き不向きがあります。
ちょいちょい小物を作っているとわかりますが、DIYという行為を節約に結び付ける考えはいただけません。もちろん人件費は浮きますが、本当にそれで満足できるのかはよく考えた方がいいです。
始めのころは道具を買いそろえる必要があります。知識や経験も足りないので、材料を無駄にしない保証もありません。施工がうまくできなければやり直しが発生してむしろお金がかかることもある。
一般的にDIYをする人は面倒であるはずの手間を楽しむ術を持ち、形にするのが面白いからやっています。好きだからやっている変態なのです。
自分でやるのが偉いとかカッコイイとかそういう表面的な部分ではじめると、うまくできないことがストレスになり続きません。
施工は業者へお願いする形もあっていい。自分ができる範囲で漆喰を生活に取り込んでみましょう。
どういった素材の下地に塗ることができるのか
下地の作り方は、素材によって異なってきますが、おおよそ以下のようなものへ塗ることができます。
- ビニールクロス
- 石膏ボード
- モルタル・コンクリート
- 紙クロス
- 布クロス
- 古壁(砂壁・繊維壁・京戸壁)
- ベニヤ・コンパネ
特に築年数が古い家屋ほど、下地の処理がとても重要になってきます。
せっかく塗った漆喰にアクが出てしまったり、ひび割れがおこらないようにするためにも、プロのサポートを受けながらの施工をお勧めします。
たくさん塗らなければ意味はないのか?
漆喰は必ずしも壁に広範囲に塗らなくては効果を発揮しないわけではありません。
厚塗りにしたからと言って効果が2倍になるというものでもない。
できれば広範囲の方が望ましいですが、全く取り入れないよりも少しでも取り入れるだけでも効果はゼロではないです。
上記のように省スペースから始めるやり方もできます。
賃貸での施工はなかなか勇気がいることなので、小さな部分から始めてみよう。
漆喰を塗った後の扱い方
暮らしに直結するメンテナンス性。あまりに手間がかかるようであれば、取り入れるには躊躇しますが、実際のお手入れはそこまで難しいわけではありません。
汚れがついた時の簡易的対処
▼軽い汚れ
消しゴムで擦ったりメラミンスポンジで擦ってよい。
▼染み込みがちの取れにくい汚れ
薄めた中性洗剤や塩素系漂白剤で使って汚れを取った後、水を湿らせた布でたたくように薄めて洗剤と汚れを取り除いていく。
このあたりは、標準的な掃除方法ですよね。カーペットの汚れを取るときもそんな感じですし。
▼それでも汚れが気になる場合
サンドペーパーで削る。
という感じでいけます。案外削ってしまった方が楽ですね。これができるのが漆喰ならでは。
塗りなおしが必要な場合
さすがに大きな破損や汚れの場合は、全体を修復して塗りなおす方が早い可能性もあります。
漆喰を塗り重ねる。
※再度シーラーを塗った後で重ね塗りする形になります。
壁は床やテーブルのように毎日念入りな拭き掃除をするような場所でもないのですが、キッチン回りや洗面所まわりなどの水周りは汚れが付きやすい場所です。その場合は、施工する位置などを考えてみるとよいかと思います。
廃棄方法について
バラしたあとの廃棄処分方法についてもないがしろにできません。
漆喰は耐火性の高い素材。基本的には産業廃棄物として有料で引き取ってもらうという形が一般的なようです。勝手に判断せずに、お住いの自治体へ確認を取ってから進めるようにしましょう。
廃棄を減らすには使用後の処分はもちろんですが、施工時にできるだけ無駄のないように材料を準備することも大事です。事前に必要な材料を計算できるツールを使ってみましょう。
まとめ
漆喰塗りは、家族で子供たちと行われている方も多いです。
施工のハードルが高いイメージはありますが、正しい知識を身に付けて、プロの話を聞きながら行えるならだいぶ落ち着いて作業ができると思いませんか。
私も漆喰を扱うのは躊躇いがありましたが、素材のことを知ったり、施工のステップを確認しているうちに、今後の使用に意欲的になれました。
ぜひ、漆喰の良さに触れてみてください。
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