少量の漆喰で、ちょっとしたDIYを行いました。
DIY NURI2(ぬりぬり)というご提供いたただいた商品をアレンジして、調湿性能を兼ね備えた壁掛けを作ってみました。漆喰は専用の道具や硬さの調合など難易度が高いイメージしか持っていませんでしたが、ちゃんと商品を選べば、扱いやすさが違うことを知ることができました。
漆喰を塗るなんて大丈夫かー?!と半信半疑でしたが、キットを使って作っているうちに純粋にDIYを楽しんでいる自分がいまして、やっぱこういうのがよくてDIYが好きなんだよなあと再認識したひとときでした。
お試しキットは初めて漆喰に触れる方はもちろん、自分でDIYできるか戸惑っている方にも、勇気を与えられる内容となっています。
ぜひ、参考にしてみてください。
DIY NURI2(ぬりぬり)という漆喰の特徴
漆喰は自然にある材料だけで施工するには扱いが難しく、きれいに強度を保って塗り上げるには、職人の力が必要になってくる問題もあります。メーカーによっては施工のしやすさを考えての配合が重視されているものがほとんどなのだそう。
そこを90年以上も漆喰製造を手掛けてきた田川産業さんでは、化学物質を入れないで施工できるよう「DIY NURI2(ぬりぬり)」という商品を研究開発されました。
田川産業さんの商品は大阪城などの歴史的建造物で扱われています。その素材と同じものをDIY向けに使っているとのこと。
NURI2の原料は「石灰石」「海藻糊」「麻スサ」と100%自然素材。
しかし、自然由来のものだけで強固な素材になりうるものなのか。
私自身深く漆喰のことを知らなかったので、今回改めて漆喰のことを学ぶにあたって、漆喰ができるまでの話にとても興味を持ちました。
石灰石→1000度で加熱で「生石灰(酸化カルシウム)」に→水を加えると砕けて「消石灰」に→糊とスサを加えると「しっくい」に→乾燥して水が蒸発して二酸化炭素と反応して石灰石(炭酸カルシウム)へ
基本的に自然にあるもので成り立ってしまう公式。化学的な話は、どうしてこうも不思議で面白いのか。
時を経て自らどんどん強化していくなんて、なんという素材なんでしょうか・・。必要なものは空気中に漂う二酸化炭素だけでいいなんて、漆喰の力を見くびってはいけないと思い知りました。
さりげなく自然の力を借りながら私たちの生活は成り立ってきているのだなと、空を見上げて壮大なイメージが膨らむ。すっかり漆喰に感銘を受けて、でんじろう先生の動画までも食い入るように見てしまいました。
そうしてこの機会に漆喰に関する疑問を解決すべく、以下のページを作りました。お手入れ方法などの疑問の解決にお役立てください。
無駄のないように材料を準備できる
DIY NURI2は、購入時に必要な分量がわかりやすいようにシュミレーターが用意されているのも大きな特徴です。施工範囲の計算をしつつ検討してみましょう。
漆喰を塗るときは下地としてのシーラーが必要ですが、必要な分量のシーラーと漆喰がセットになった状態で販売されています。
塗りたい面積に対しての必要な分量は、経験を積まなければわからないことです。先に目安がわかるだけでも予算を立てやすいので、そういった面でも助かる仕組みですね。
少量を試して、施工方法について考える
塗るときの質感は、20度の室内で湿度70%ほどの部屋でNURI2を開封して施工した場合は、垂れてくるほど柔らかいわけでもなく、硬すぎて全く伸びないということもなく。普通に塗りやすかったという印象。
この辺りは湿度や気温によっても塗りやすさは違いが出てくるようですが、袋の外から練りこむほどになじんで柔らかくなっていくのを感じました。
色見本が確認できるのはいいですよね。こういうのを見ると家を建てる時のようなワクワク感も湧いてきます。
照明や光の具合で色味が違って見えるので、想定している部屋で壁に合わせてみたり。
もし現状の賃貸の部屋に漆喰を施工するのなら、壁を自作したうえでの施工が現実的だなとは考えていました。
自分で壁を作る場合は、2×4材を使って突っ張り式の柱を作れるものがあります。
これらの自作の壁を活かすことになるだろうなとは考えていましたが、漆喰を施工するのは簡単なことではない気がしていました。
普通にその部屋で暮らしながらの施工を並行することになるので、その部屋に入れない期間が長くなってしまうと生活に支障がでます。
基本的にはDIYを行う時は換気が必要なので、温かい季節を狙って行うようにしていますが、だとしても天気をみながら行うのでおおよその日程の見積もりは立てたい。
また、原状回復できる形でのDIYですが、解体時もなかなかの労力を取られます。電動ドライバーを使ってひたすらバラしていくわけですが、あまり大がかかりなことはやりたくないなあ・・というのが、私個人の考え方です。
すでに10本以上柱を立てていろいろやっているので、これ以上は・・という部分もありますし、狭い部屋でやりくりしていくなら、やはり取り外しが簡単にできる方が便利です。
そういった理由から、壁に塗るというよりボードを取り付ける方法もありかもしれないと仮定してみました。なんなら縁をつければ、ビスを使いやすくなるわけで、金具を取り付けたり、壁面への付け外しがやりやすくなるのではないかという算段です。
そのためのテストしてのお試しキット。
それにせっかくの上質な漆喰。大事に使いたい気持ちもあり・・
自分でうまく模様をいれられるかも心配だったので、模様の付け方もちょっと練習できたのがよかったです。
なお、模様の付け方については以下の動画が参考になりました。
お試しキットの中身
キットはこのような形で届きます。
箱のサイズ:42×42×9cmほど
箱の中身は以下のものが入っています。
成分 | 分量 | |
---|---|---|
漆喰「ナチュラルホワイト」 | 水 38%以下、消石灰 33%以上、天然石 27%以下、麻スサ・海藻糊・顔料 2%以下 | 700g |
シーラー | 水 75%以下、アクリル樹脂 25%以下 | 50ml |
ベニヤ板 | 400×400 | 1枚 |
同梱物 | プラスチック鏝、刷毛 | 各1個 |
サンプル | カラーサンプル7色 | 各1色ずつ7個 |
マニュアル | 1冊 |
ベニヤ板にお試し塗りができるセットです。刷毛もコテもついてくるのが何気に嬉しい。
お試しとはいえ、40㎝角はしっかりとしたサイズ。実際に漆喰塗りを体験できることはもちろんですが、壁に合わせてイメージをつかみやすいようにこのようなサイズを用意しているそうです。
商品が届くまでの間に動画や公式サイトで手順を確認をしつつ、マニュアルの冊子にも目を通すと、だいぶやり方が身に付きます。
しかし「モノクロで簡易的に紙1枚に収められたプロ向けの取説」というのはよくあるのですが、こんなに丁寧な冊子がついてくるのは正直驚きました。まるでDIYのムック本みたいな雰囲気。
こんなにかわいらしくデザイン性のある説明書を始めてみました・・。
普段は取説はザーッと流し読みだけで感覚で行動するのですが、さすがに今回は初めての漆喰に緊張したのでしっかりと勉強をさせていただきました。
下地の作り方、塗り重ね方、なぜシーラーが必要なのか、養生の大切さなど。どれも基本的で当たり前のことですが、そういった手順がいかに大切かを知るべき。
漆喰商品を推している田川産業さんは、このような冊子の他にもWEBや動画での解説にも力が入っています。さらにLINEでも質問を受け付けているなど、ここまで親切なメーカーは本当に珍しいです。
DIYで触れるものはほぼ職人向けのような世界が大部分なので、びっくりしたというのが正直なところでした。
怖がらなくてもいいんだよね・・
壁掛けアートボード作成の手順
事前学習ができたところで、キットに入っている板を活用して、壁掛けのアートボードを作った流れを解説します。
そんなに手の込んだことはしていないのですが、要所で気になったこともありましたので参考にしていただければ。
- シーラーを注ぎ入れる入れ物を準備しておく
- 養生するためのマスキングテープやマスカーなどがあるといい
- 手にフィットする使い捨てできる手袋
- 汚れをふき取る古タオル
- 漆喰を塗るときに鏝(コテ)とセットで使う、コテ板
- 漆喰を袋からすくい出す時にヘラっぽいものがあるといい
手順は以下のとおりです。
それぞれ乾燥時間が必要になるので、完成までに最低でも3日は時間をかけること想定した方がよいです。
決して丸3日つきっきりで作業しなくてはいけないというわけではないですよ。
塗るものさえ塗ったらあとは、放置しておくのが基本。実質の作業時間は数時間で終わるというくらい、簡単なものです。
漆喰が完全に乾ききるまでは、さらに1~2週間は見た方がいいと思いますが、作ったものに寄りかかるようなことをしなければいいだけなので、塗ってから24時間後には壁にかけながらの乾燥で大丈夫です。
事前にコテ板を作っておく
コテ板はホームセンターで2000円もしないくらいで売っているんですが、簡易的でよければ葉材を使うなどして自作もできます。王道の形ではないので邪道かもしれませんが。お試しでついてくるコテは、それほど大きなサイズでもないので、合わせて作ってみました。
役割としては、漆喰を板に乗せて、コテを使って必要分量をとりわけながら使うための道具です。目指すところはうまく漆喰を塗れることがゴールなので、自分で使いやすいような形でもよいかと。
持ちやすく、コテを随所でしごいてキレイにしやすい形状であれば、DIYの範疇ではなんとかなります。
さすがに広範囲の壁塗りであれば、もう少し大きなコテ板を準備した方が使いやすいと思います。
私は余っていたベニヤ板に、スノコを解体した時の下駄部分の角材をビスで固定して作りました。解体もできるように養生テープをつけて、後始末が簡単になるようにしています。(タオルでふき取りできるように)
コテ板は「ヘリ」の部分をよく使います。コテに載せる分量の調整というか、コテについた漆喰をこそぎ落としながら使っていくので、縁がしっかりしていて、ある程度硬さがある方がいいです。
塗るときの動作をシミュレーションしながら、持ちやすさを考慮して持ち手を工夫してみるのもいいと思います。お好みで調整をどうぞ。
あと、漆喰を袋から出すときにヘラっぽいものがあると便利です。出し過ぎを防止できるので。お試し品でないバケツサイズを買ったら深めのスコップの方がいいのですが、お試しキットはジッパー付きの袋に入っているので、小さめのものでよいです。
【一日目】壁掛けの形を作る
壁掛けの形にするために、材料を少し追加しました。
- 15mm角の角材(軽さを重視して杉材をチョイス)
- 壁掛け用金具2個(100均で購入)
- 取り付けのためのビス(角材の厚さに合わせて適量準備)
角材は4辺に収まるサイズ分あればいいだけなので、お好みの太さでよいかと。
角材はガイドを使って45度の角度でカットして取り付けています。
ボンドで接着し裏からビスで丁寧に留めておく、といった感じ。皿とりもしておくと、仕上がりがきれいです。
それぞれの面や角はやすりをかけて整えておきます。やすりの粉やはみ出たボンドはきれいにふき取っておきましょう。
これで、漆喰を塗る土台ができました。ボンドがしっかりと固まるまで1日放置してからシーラーを塗る作業に移ると安心ですね。
【2日目】シーラーを塗る
漆喰は意外といろんな素材の上に塗ることができます。ですが、ベニヤ板や木材などはヤニ(アク)が出てきたりするので、そのまま漆喰を塗っていくとムラや剥がれの原因になってしまうようです。
そのため、事前に下地を整えるべく、目止めとしてシーラーを塗って表面を整えておきます。シーラーを塗るための刷毛はついてきますが入れ物は入ってきませんので何か用意しましょう。
シーラーは一度に全部入れずに、少しずつトレイに入れながら使うのがポイント。
私は食品トレイをきれいに洗って使いました。
シーラーはサラリとした液体でほとんど匂いはしません。入れ物が溶け出すようなヤバそうなものではないですが、汚れてもいい服装や使い捨て手袋を使い、必ず換気をしながら塗装しましょう。
固まると透明になりますが、硬化してしまうと簡単にはとれません。作業時は周りが汚れないように養生しながら行うなど配慮してください。
1回目のシーラーは板に染み込む感じもあり、半分くらい使いました。乾燥時間は約2時間です。
シーラーを塗った刷毛をそのまま置いていると固まってしまうので、一旦水洗いしておきます。(ニス塗りの時のように、ジップロックに入れて密閉していてもいけると思います)
塗り方や室温によって乾燥時間は上下します。完全に乾くと透明になるので、色を目安に重ね塗りしていきましょう。
ベニヤ板は2~3回シーラーを塗った方がいいらしいので、続けて2回目のシーラー塗り。
2回目は、染みこみが少ないのでボトルの1/3量を残すくらいでちょうどよかったです。
3回目は、だいぶ塗膜ができているのを感じながら塗れます。あくまでも目止めとしての下地塗りなので、ニスのように神経をとがらせながら塗らなくても大丈夫です。ひらすらムラなく塗ることだけに集中。泡がつく場合は、乾く前にスポンジで撫でれば表面が整います。
シーラーをを3回塗ったら、一日時間をおいてしっかり乾燥。乾いた後で触ってみると、少しペタペタするような質感でした。
水性ニスを塗った質感と似ているかも。
このあと漆喰を塗っていきす。
【3日目】漆喰を塗る
漆喰を塗る前に、漆喰がついてほしくない場所をビシッと養生します。木枠の縁部分にはつけたくなかったので、マスキングテープを貼りました。
裏の部分も養生しておきます。ふいに手に持った時についちゃうのは悲しいので。
漆喰は開封する前にしっかり揉んで柔らかくしてから使います。
ちょっと水が分離していても、揉んでいるうちにいい感じに混ざり合って、どんどんふっくら柔らかに変わっていきます。うどんをこねるように足で踏み踏みしてもいいみたい。
※分離防止剤を使っていないので、こういった作業が必要になるようです。
明らかに柔らかくなっていくのがわかるので、この過程は結構楽しいですね。
模様を付ける場合は、先にイメージを固めておきます。
封を切るとほわ~んと磯の香りがしてきます。
化学糊の代わりに海藻を使っているということですが、ほんとに海藻の匂い。港や岩場に近づけば、こういう匂いするよねっていうあの感じ。でも換気をしていれば、乾燥とともにだんだん薄れていきます。
木工にワトコオイルを塗装する時の方がよっぽどきつい匂いです。それに比べたら優しさしか感じませんでした。
充分に柔らかくなったら、コテを使って一気に塗り広げて、角や隅は丁寧に押し込む感じで塗っていきます。1回の塗りの厚さは1~2mmを心がけて。
厚みが欲しい時は全体を塗った後に塗り重ねます。
重ね塗りの目安は、表面がまだしっとりしているけど完全には乾いていない、指で触ってもついてこないくらいの硬さが2回目の重ね塗りのタイミング。
・・と、動画で勉強したので、そのとおりにチャレンジしてみました。少々厚塗り感を出して、仕上げにコテを動かして軽く模様をいれてみました。
模様を付ける場合も、少しだけ固まってきたところを見計らうといいらしいです。
とりあえず、あまり神経質にならずにやってみるの精神で。素材の硬さがわかってくると、なんとなくでもこうすればいいのかな、と手が動くようになります。
ちなみに漆喰は2回塗りしましたが、全量は使い切りませんでした。1/3くらいは残ってます。後で別のものに使おうかな。
漆喰が乾く前に、マスキングテープは外しておきます。
始めて漆喰を塗ってみた感想
4日目の朝に、縁部分にアンティークワックスを刷り込みました。(漆喰につかないようにここでもマスキングしています)
少し厚みがある部分の色が、乾ききっていなくて色が濃く出ています。・・いや、もしかしたらこれが噂のアクがでるってやつなのか・・?
しかし日数の経過とともに色味が変わっていき、ほとんど目立たなくなりました。単に乾燥時間の違いによる色の変化だった模様。
ダメならシーラーを塗って、もう一層漆喰を重ね塗りかなーと思ってたのですが、初めてにしては上出来だったと自分を褒めておきます。
さらに数日後、ここに写真や造花の葉っぱを入れてみました。
この漆喰ボードの中で気分に合わせたレイアウトを作って楽しんでおります。
ゲル状の両面テープを少量カットして、漆喰ボードに貼り付けると自由に造花をレイアウトできます。ビニールクロスで長期間これをこれをやるのは外すときに気を使いすぎるので、こうして漆喰のアートボードを作るとやりやすいことが判明しました。
漆喰の質感に初めて触れたのですが、ぶっちゃけ、とても楽しかった。作ったものを眺めているのも感慨深くていい。
もっとたくさん塗ってみたい気持ちが湧いてきたので、引き続き、温かい季節に向けて準備を進めていこうと思いました。
特に養生については本当に大事です。マスキングは行ったのですが、はずすときについてしまった汚れをタオルで軽くふき取った時のが原因で変色していました。
白木であればやすり掛けをすれば気にならなくなりますが、シーラーを広めに塗るべきというのは、こういうことなのですね・・。漆喰と木材の境目も黒くなっていたので、ギリギリの縁ほど丁寧に行わなくてはいけないのだなと、実感しました。
強アルカリ性をなめてはいけない。
漆喰塗りの表面は、仕上がりがどの状態までなら許せるか・・によると思いますが、すべすべもいいけど、ボコボコと味がある感じもまた味わいがあります。個人的には、手作り感ある雰囲気が好きですね。
今回のような感じで別の部屋の設置も計画中です。
でも下地はベニヤだと気を使うから、石膏ボードの方がいいかなあ。
まとめ
普段は木工中心のモノづくりですが、いつもと違った素材でDIYをしてみました。
あまりに高い素材は手が出ませんが、DIY向けの漆喰なら価格もお手頃。量も加減できますし、扱いやすさの観点から見ても自分の材料のラインナップに加えられそうです。
木工との相性もいいので、部屋のイメージにづくりに模索していこうと思いました。
素人が扱うには難しいとされている漆喰ですが、DIY向けであればだいぶイメージが変わります。しかも自然素材から作られているものであれば、施工から後片付けまで変に気を使うこともないですし、室内に置く安心感がだいぶ違います。
まずは一歩を踏み出すべく、小物制作からはじめてみてはいかがでしょうか。
コメント