キャンプで使う大きめの風防が欲しくなったので、帆布を使って家庭用ミシンで縫い上げてみました。帆布は火の粉に強い(燃え広がりにくい)綿素材からできています。
作ったものは、焚き火風防、リフレクター、ウィンドスクリーンなどとと呼ばれているやつです。呼び名が焚き火リフレクターといえば、ニュアンスからして反射板として使う金属製のイメージかなと思います。しかし今回の目的は、
- 倒れにくい風よけとして使いたい
- 軽量な方がいい
・・という気持ちだったので、布製にしてみました。
なので、正確には風防(ウィンドスクリーン)という感じが正しいのかも。帆布はかなり厚地なので普通の生地と同じ感覚で縫おうとすると大変なのですが、ポイントをおさえて作っていくとミシンで加工ができます。(それでもほぼ1日がかりの作業でしたが。)
風防の形状は単純で、形さえ出来上がっていれば使えるものですし、自作するにしてもそれほど難しいものではないです。ただ、作るのに微妙に時間がかかるだけ。
とりあえず作ってみたけど反省点もあるなーという状況なのですが、これから自作を検討中の方の参考になれば幸いです。
設置に必要なもの
設置のイメージは、図のような感じで考えました。
【幕】約180✕70cm
【ポール】13.7Φ✕約90cm
実際はペグで固定する場所を改良しているんですが、これに必要な材料は以下のとおり。
使う生地について
ペグやロープなどの最初から持っているものを除いて、新しく準備したものだけでトータル5000円弱かかりました。帆布がね、安くはないんですよね。相場が50cmで800円台~という感じなので。探すともうちょっと安いところもあるんですけども。
カットクロスを購入してつなぎ合わせてもいいのですが、図り売りで2mほど購入すれば十分に間に合う感じでした。
余り生地は、自作のハンギングラックの部品にも使っています。
生地はどのように縫い合わせていくのか、事前に縫い代を計算してから買うと無駄が出ません。
織り込んでほつれ止めをする場合は、折込分も計算に入れて生地を裁断します。ですが、帆布を3つ折りして縫い合わせる方法は、家庭用ミシンでは厳しい。
なのでほつれ防止の処理は「縁取り」で対応してみました。縁取りをやるなら、縫い代分を大きく取る必要がないので、ほぼ希望通りのサイズに合わせやすいのがよいです。難があるとすれば、縁取りテープにそってキレイに縫っていくのがちょっと気を使うくらい。
市販の縁取りテープを買ったほうが手軽なんですけど、他のギアを買うためにも少しでも節約しておこうかと思って、縁取りテープも自作しています。
縁取りに使った生地も綿素材で、約50✕45cmのハギレ生地を活用しました。
支柱について
支柱は「鉄筋」を使う予定だったんですけど、重量が嵩むのは嫌だなーと思い、園芸用の支柱で軽量化を測ってみました。(しかもセリアで買ったので、2本で200円程度)
耐久性を思えば鉄筋などの金属製の方が安定感もあるのですが、どうも重すぎるものは使う頻度が減っていく・・。駄目だったら交換すればいいよねということで、これ使ってます。
実際使ってみると、めちゃくちゃ強風でもない限りは使えます。(そもそもこれが倒れるほどの強風の時は焚き火も危ないからやらないし、調理もテントの前室を使うなど場所を変えて調理します)
支柱の軽量化は、できればパイプでなんかこう加工ができるのが理想的ではあるなー・・と考えつつも、まずは作って使ってみてから、徐々に改良を繰り返していけるのがDIYの良さですね。
持ち歩く時の入れ物について
ケースはダイソーの書類ケースがぴったりらしいと耳にしたので、参考にとりあえず使っています。
でも入ることは入るんですけど、長くした状態できれいにロックがかからないというか、ピシッと収まらない感じが気になるのでケースもそのうち作りたいです。
帆布を家庭用ミシンで縫うときに知っておくといいこと
帆布は厚みがあってとても丈夫な生地です。家庭用ミシンで縫えるものは8号や11号までが限界とされていますが、それでもそこそこの厚地が縫えるタイプのミシンでないと難しいです。
ミシン針は通常の生地で11号~14号を使いますが、それらで対応できるのは11号帆布。8号帆布はそれよりも固めでハリがある生地のため、ミシン針は16号に交換して縫ったほうが安定します。
8号帆布 → ハリがあって型崩れしにくい
- ミシン針・・・16号必須
- ミシン糸・・・普通糸#60でもいけるが#30~50の厚地用のほうが安心感ある
11号帆布 → 8号よりもしなやかで縫いやすい
- ミシン針・・・11や14号でもまあいける。できれば14号。(縫い方によっては16号を持っていた方が安心)
- ミシン糸・・・#60でも縫えるが、#30~50の厚地用が安定して縫える
8号帆布に14号のミシン針でも重なりがない部分であれば縫えるのですが、無理して使うと針が曲がったり折れたりします。11号帆布なら縫いやすいとされていますが、厚地をミシンで縫うなら16号ミシン針を準備した方が安心できるでしょう。
ミシン糸は通常#60を普通地で使う機会が多いのですが、100円ショップで買うような糸は切れやすく、厚地を縫うにはもちません。作業性が違いますし、作った後の切れにくさも違います。ちょい高めでも手芸店で購入されることをおすすめします。
万能に使えるのが#60で帆布でも使えるのですが、丈夫なものを作るのなら#30~#50の厚地用を使用される方が安心できます。糸にも木綿・絹・合繊と配合の種類があって、それによって生地に合わせた適正の糸が違ってきます。木綿系の#40~#50がバランス良いかとは思ったのですが、手元になかったので、ポリエステルが入っているタイプを使いました。
でも一番重要なのは針の方ですね。針がしっかり準備できていれば、糸は最悪#60でも縫えないことはないです。こだわって無理に準備することもないのかなとは思います。
生地を裁断後にハギレを使って、テストで縫ってみてから使う判断してみましょう。
縁取りテープの作り方
生地は切りっぱなしで使うと端っこからほつれてくるので、何らかの処理をしなくてはなりません。薄手の生地なら3つ折りで仕上げれば済む話ですが、帆布はそう簡単にいきません。重なり部分が増えるほどミシン針を通すのが難しくなってしまうのです。
そのような3つ折りが難しいときは「縁取り」で対処という方法があります。
縁取りテープ(バイアステープなど)が売られているのですが、今回は節約を兼ねて自作しました。火のそばで使うものなので、素材は綿で薄手の生地であればいいでしょう。
本来はバイアステープを自作するときは生地を斜めにカットして伸縮するように作っていくものなのですが、ギリギリで材料を使うために今回はあえての直線カットでテープを作りました。
5cm幅に生地をカットしていき、「1・1.5・1.5・1cm」の感覚で谷折りの折り目をアイロンで入れていきます。
理想としては、片側をちょいずらしして織り込むように作っておくと縫い付ける時にやりやすいです。
アイロン定規を使いながら行いましたが、縁取りテープを自作するための補助道具もあります。
手芸の頻度が少なければ道具を揃えるのは戸惑いますが、布製のアウトドア用品を作るときは縁取りテープを使うことが多いので、テープメーカーを持っているとコスパよく制作がはかどります。
バイアステープをピシッときれいな縫い目で縫い付けるのは、なかなか気を使います。丁寧にアイロンがけをこまめに行いながらやればそれなりなのですが、ひと手間を惜しまずにやっていくことで、仕上がりが変わってくる。
とはいえ、使っては汚れていくアウトドア用品なので、ほつれない程度にとめておけるならヨシとするかという気概もあっていいんじゃないでしょうか。(私はそうしている)
それから、細かい箇所を縫うときはまち針を使うよりもクリップで固定しながら行うと、ズレにくく縫いやすくなります。このクリップはミシンがけの必需品と言えるくらい素晴らしいものです。
そんな塩梅で材料を用意していったわけですが、今回の縁取りで使った長さは6mもあれば足りるかなという具合でした。ハギレを買うなら、50cm幅で70~80cmくらいあれば間に合います。もし100均でいい生地を見つけられれば、かなり安上がりにテープを作ることができます。
生地の裁断と作り方
生地は、上記のようにカットして使いました。
裁断ができたら、グルーっと縁取りテープを縫い付けていき支柱を取り付ける筒状のものをくっつけるだけです。
今になって思えば三角の端っこについては、わざわざ筒を作らなくても、ナイロンテープやカバン紐などを使ってループをつけるほうが簡単で、ペグ打ちもしやすいです。なので最初は筒を取り付けましたが、後からループを取り付けました。
縁取りのテープの付け方
縁取りテープは開いて生地の端をあわせ、折り目を縫っていきます。
その後、帆布にテープを被せる形でもう一度ミシンを掛けていきます。これで、帆布の端っこがほつれてくることがありません。
テープを縫い付ける際の抑えにまち針では対応できないので、ここでクリップで固定しながらしながら行うととてもやりやすいです。
支柱の支え部分の取り付け方
先に筒状の部品を作ってから大きな幕へ縫い付けていく方法では、厚みがあってミシンでは縫えなくなってしまいます。なのでここでも縁取りテープを利用することで、ミシンでの加工がやりやすくなります。
筒部分には、片側だけに縁取りテープをとりつけておき、この状態で先に大きな幕の方へ縫い付けていきます。
取り付けが終わったら、縁取りテープで封をしていくようにミシンで閉じていきます。こうすると、縫い合わせの重なりは2枚分の厚さにしかならないので、ミシンでも十分に縫い付けができます。負荷がかかる場所には、補強のミシンを入れておきました。気になるなら二回ミシンを入れておくとなお丈夫に仕上がります。
同様にすべての固定ポイントを取り付けたら、完成です。
完成形とちょい足しポイント
それから、地面が湿っている時に生地が地面につきっぱなしになるのもなんかなーと思ったので、軽く浮かせて使えるように支柱が上部で止まるようにストッパーをつけておきました。
支柱の差し込み加減で、高さは調整できます。
ガイロープを使う時のループも追加しておきました。ナイロンテープはダイソーでも購入できます。
布製なので焚き火で輻射熱を利用した反射板として使うにはどうかと思いますが、風を遮り、安定した調理場所を確保するための壁としては作ってよかったなーと思います。
安く済ませるなら市販品を買ったほうがいいような気もしますけど、自分で作ったものならアレンジも自在なので、今後のメンテナンスを思えばアリかなーと思っています。
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