キルティング生地は軽量でクッション性があるので、ケースに使ったりカバーにしたりといろいろ使えます。
市販の生地を買って作るのも良いのですが、キルティングそのものを自作できると材料代も浮きますし、オリジナリティあふれる作品は愛でたくなるもの。
とはいえ、見よう見マネだけで、何も準備せずになんとなく生地を合わせてミシンがけを始めてしまうと、ほとんど使い物にならないキルティング生地ができあがってしまいます。
そこが難しいと言われている所以なのかもしれませんが、こうすればうまくいくよ、という内容をまとめてみました。
生地まで手作りを試みるというのは微妙に手間がかかる行為ではあるんですが、それでもやってみたいと思ったら、参考にしてみてもらえればと思います。
100均のハギレを買って私はよく作っています。
とうとうミシン(ジャノメ_JN-51)を買ってしまったので購入レポします。 | ぴらめこな生活
※別のサイトの記事ですが、こちらも私ぴらめこが運営しているサイト内の記事です。
キルティング作成のポイント
私も最初は、そこまでやるのかー・・と億劫になったものですが、基本はシワを伸ばしたらり、キレイに重ねたりできれば、あとはなんてことはない作業になります。
自作キルティングを作るときの手順は以下の通り。
- 使う生地にアイロンがけをしてからサイズを決めて切りそろえ
- クリップで端っこを押さえつつ、アイロン接着テープを使って仮止め
- 縫い目を入れるところに印つけ
- 厚紙をあてがい、ひたすらミシンがけ
- 端っこを整えて裁断し、ほつれ止めを施しておく
実際の手順(1)生地のアイロンがけ
シワやクセがついていている生地はそのまま使うと、仕上がり後に形が崩れてしまったり、洗濯したら変な形になることがあります。それを防ぐために、先に生地を一回濡らして、しっかりとアイロンがけをして整えてから使います。
スチームアイロンのスチームでは、キレイに生地が伸びないんですよね。できれば生地を水につけて湿らせてしまうか、霧吹きでガッツリ濡らしてからドライの状態でシワ伸ばしするとピシッとします。
表面と裏面でそれぞれ2枚とも、同じようにして整えておきます。
実際の手順(2)アイロン接着テープを使って仮止め
形状は、2枚の生地でドミット芯を挟むイメージです。
バランスを整えて重ね合わせて、位置決めをします。
このときに、仮止めのクリップを挟みながら作業すると、ズレにくく整えていけます。
アイロンテープは挟むように位置づけておきます。
テープは、細かく配置する必要はありません。どこを縫っていてもズレないような間隔で、置いてけば充分。グルっと縁を一周と角をクロスさせて、その他は約20cm間隔くらいで、テープを置いています。
両面とも同じ用にテープを挟んで、アイロンで押さえて接着しておきます。
ドミット芯につなぎ目があっても、テープで接着してからキルティングしていくと境目は分からなくなります。
大きめの生地になると、アイロン台に移動させる間にズレてしまうので、100均などで手に入る「アイロンシート」を下に敷いて使うと便利ですね。
生地を持ち上げた時にくっついているのがわかれば、大丈夫です。
実際の手順(3)縫い目の目安を決める
縫い目の目印を全面に書いておくと安心ではあるのですが、それもなかなか大変です。
なので私は、縫い始めのラインだけ目印を入れるようにし、あとは、ミシンがけの際に使う台紙を目安にしてどんどん縫い上げていくようにしています。生地の端っこから順番に縫っていくのではなく、真ん中から初めて、どんどん端っこに向かって縫っていくとシワになりにくいです。
実際の手順(4)ひたすらミシンがけ
押さえの脇に厚紙を挟むとヨレにくくなります。
それに縫い幅を書き入れておくと、だいたいの間隔がつかみやすいです。
やり方さえ押さえれば、あとはひたすら単純作業。音楽でも聞きながらミシンがけをこなしていく時間はある意味ストレス発散にもなっているので、私は結構好きな作業です。
実際の手順(5)端を整えて、ほつれ止め
どんなに丁寧に縫い合わせても、端っこは必ずズレが生じます。なので、出来上がりサイズは準備した生地サイズよりも2~3cmはカットすることになるので、少し小さくなることを想定しておきましょう。
ロータリーカッターを使って、断ち落とすと裁断面がキレイです。
切りっぱなしにしていると、どんどんほつれてくるので、「ジグザク縫い」や「裁ち目かがり」を切り口のところに施しておくと安心。
「裁ち目かがり」はミシンの押さえを変更しないと縫えませんが、ジグザグ縫いやトリコット縫いは普通の押さえで縫えます。ジグザグ縫いはちょっと縫い目が詰まりやすいですが、一番てっとり早いですね。縫い上げスピードも早いですし、糸も節約できます。トリコット縫いは、伸縮性のある生地に向いている縫い方なんですが、キルティングにも使いやすいような気がしています。キレイに縫えるので。
いづれにせよ、バイアステープ(縁取りテープ)を被せて使うので見えなくなる部分です。どの縫い方でもほつれて来なければそれでヨシということで、あまりこだわらずとも、お好みの縫い方でよいと思います。
カバー向けのキルティング生地を作る時に準備したいもの
手順に出てきた道具にについて説明します。
自作のキルティングを仕上げるためには、材料の他にいくつか道具を揃えておくことをおすすめします。
- ドミット芯
- 生地 (表と裏の2枚分)
- アイロン接着テープ
- アイロン(アイロンシートもあると便利)
- 霧吹き(布を湿らせることができればOK)
- クリップ
- 厚紙かPPバンド
- ロータリーカッター(カッターマットもセットで)
- 14号のミシン針と#60の糸
使うミシン針は14号、糸は#60で行っています。ミシンの押さえは、普通縫いの押さえで大丈夫です。糸はすごくたくさん使うので、使いかけしかない場合は、新しいものを1つ購入しておくと安心。
ミシン針の太さは、生地に合わせて使い分けないと縫い目がきれいになりにくいので、目安を覚えておくといいですね。
生地の厚さ | ミシン糸 | ミシン針 |
---|---|---|
薄地 (ハンカチくらいの薄さ) | #90 | 9号 |
普通時 (ワイシャツくらいの厚さ) | #60 | 11号 |
厚地 (ジーンズ、帆布くらいの厚さ) | #30(または#60) | 14号or16号 |
ニットなどの伸縮地 | #50(ニット用) | 9号(ニット用) |
厚地に細い針を使うと普通に曲がったり折れたりしますし、危ないです。ミシンも針が進めなくなるとエラー表示が出て止まるんですけども、そんなことばかり繰り返しているとミシンにもよくないのではないかと思われます。
ミシン針はひととおり持っておくと、いろんなパターンで使えます。同じ生地しか扱わないなら別ですが、いろんなものを作っていくなら揃えておくと直ぐに対応できます。
ドミット芯とキルト芯ではどちらを選ぶべきか
キルティングは生地の間に中綿をサンドして縫い付けていきます。中綿になるものにキルト芯やドミット芯という種類があるのですが、ケースを作るときなどの実用品を作る際は、「ドミット芯」(ドミットタイプ)と呼ばれる方がおすすめです。
ドミットタイプは通常のキルト芯に比べて密度が高く、ギュッと綿が圧縮されたシート状になっています。
対してキルト芯は、ふっくらとした薄い綿といった感じ。ふっくらとしたボリュームが出るのはキルト芯なのですが、綿がちぎれやすいといった側面があるので、日常的に使用する入れ物で使うには耐久性の心配があります。
ドミット芯の方は、引っ張っても簡単にはちぎれないくらい丈夫な綿のシートになっています。圧縮されているのでふっくら感は物足りない気もしますが、ケースづくりに使うには十分な厚みを作れますし、フカフカしすぎない方が縫い付けもしやすい。洗濯してもヨレたりしません。
丈夫で長く使えるキルティング生地をつくるなら、ぜひともドミット芯の方をおすすめします。
しかしドミット芯もいろんな種類があるんですよね。
特に「アウルスママ」のキルト芯シリーズは、めちゃめちゃ種類が豊富すぎて、どれをつかうのが正解かは用途によって違ってくるとしかいいようがありません。好みもあると思いますが。
厚さは薄手と厚手が選べますし、ロールか個別のパッケージかも選べる。ミシンがけがしやすいように接着のりがついているタイプもあります。
私が使っているものは接着のりなしの厚手タイプ。(おそらく)
(旧式のパッケージで型番がわからないので、判別が怪しいのですが・・)
片面がしっかりと固められた感じになっていて、キルティング作成中に繊維がふわふわと舞いあがるようなこともなく使えています。日本バイリーン社のキルト芯は、個人的にめっちゃ信用しています。
公式サイト キルト芯/キルト綿 | 日本バイリーン株式会社
生地は2枚準備する
綿をサンドイッチするので、表側の生地と裏側の生地と2つ準備します。
帆布などの厚手で硬い生地をかけあわせると、せっかくのふっくら感を潰してしまうので、ある程度柔らかい生地を選択したほうがよいと思います。
縫い安さの観点では、あまりに伸縮性がありすぎる生地は難度が一気に上がってしまいます。
伸びやすいニット系の生地などは手触りがいいのですが、とてもヨレやすく縫いにくい。そもそもニットは針や糸も気を使うところがあるので、普通時の#60の糸が扱える範囲内の生地を選ぶとやりやすいです。
慣れていないうちは、ちょっとハリのあるオックスやブロード、シーチングの生地が縫いやすいです。選べる生地の種類も多いですし、なんといってもヨレにくいのがいい。キルティングはひたすら高速で直線縫いを繰り返していく単純作業。あまり気を使わずに縫える生地を選択することが、手早くきれいに仕上げる最大のポイントなのではないかと思います。
生地のカットはロータリーカッターで
ハサミで生地をカットすると、生地が浮いてまっすぐにカットできないことが多いのですが、ロータリーカッターを使って生地を裁断すると正確にまっすぐ、しかも早くカットすることができます。カッターマットも必須です。
同じ大きさに生地を揃えることができないと、縫い合わせに苦労します。きっちりとサイズを合わせたい作業の時は、定規とカッターマットとロータリーカッター。これで一気に作業性がアップ。
端っこをキレイに切りそろえられると、アイロンを使っての折り目も美しい。ミシンがけもやりやすくなる。やはりキレイな裁断は、良い仕上がりへ繋がります。
アイロン接着テープがあると、ミシンがけの難易度が下がる
手縫いでしつけ糸を縫い付けると確実なのですが、手縫い作業が入るだけで時間がかかるし、面倒な気持ちもわいてくる。そこでアイロン接着で手早くズレ防止の加工です。
そんなにしっかりくっつかなくても、ドミット芯と生地がズレない程度についていてくれれば充分なんですよね。テープを置いて、アイロンで押さえるだけで、簡単に仮止めが叶います。
▼はくり紙がないタイプの方が使い勝手いいかな。
▼定番のはくり紙つき
両面テープでも仮止めできるんですが、そのままミシンで縫っていくとハリがベタベタになっていき、そのまま強引に使っていると最終的には折れることもあります。
糊付きのキルト芯を選べばそこは一発解決する話ではありますが、全面に糊付けされていなくても大丈夫なものなので、コストの面からもテープおすすめです。
アイロン接着テープを持っていると、あらゆる場面でちょっとした仮止めにつかえます。
(ファスナーを縫い付けたり、バイアステープをつける時など。)
これからいろんな生地でケースを作っていくなら、持っていると重宝するでしょう。
少量で巻は少ないですが、セリアなどの100均でもアイロン接着テープを買うことができます。
クリップを使って、ズレない固定を目指す
仮止めといえば「まち針」ですが、まち針は厚地になるところで使うとズレる事が多いです。そんなときは仮止めクリップ。
100円ショップでも似たようなものが買えるんですが、クロバー社のものは開口が開きやすく、縫い代のメモリもついているので、使いやすいです。
とくにアウトドア用品は厚手の生地を扱うので、仮止めクリップを持っていないと苦労します。
アゴが深めのロングタイプもおすすめです。
通常のミシンがけでなんでも完全にまち針と入れ替えて使えるというわけでもないんですが、場所に応じた使い分けができるのは安心感がありますね。
押さえのサポートに厚紙を併用してみよう
慣れれば、60✕90cmくらいの生地を作るのに1時間もあれば縫い上げは完了します。とはいえ、スピード重視で早く作り上げて、シワシワなものができても悲しみしか残りません。
ミシンの押さえだけで縫い込んでいくと、生地が引っ張られてヨレていくのがちょっと辛いので、厚紙をあてがいながら縫い込んでいくことで、きれいに縫うことができるようになります。
厚紙はゴムやマジックテープの台紙に入っていてものなんかで十分ですし、何かのパッケージを切り出して使ってもいい。
PPバンドは、梱包を解いた時に捨てないで少し取っておけば解決です。ぜひ使ってみてほしいです。
まとめ
きれいなキルティングを作るには、ある程度の準備が必要不可欠です。
このために持っていない道具を揃えるというのは微妙に手間はかかりますが、既製品の生地を買うよりも半額程度で作れちゃったりすると、それもアリかもしれないと思えくるんですよね。
安い生地を使ったとしても、キルティングしていると急に高級感も出ますし、クッション性のケースをよく作るなら、知ってて損なしの技だと思います。
以上、参考なれば幸いです。
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