作りたい本棚のイメージが固まったら、実際に使う材料と照らし合わせながら設計図を書いてみましょう。どんな感じで考えればいいのか、そういう話でもしてみます。
実物を見ながらイメージしてみるのがおすすめ。
本棚に限らず何でも作ってみたいなと思ったら、実際に店舗で売られている家具を見てみたり、ネットやホームセンターで材料がそろうのか等、既成品を見ながら考えるのがいいと思います。
やっぱり出来上がりイメージの実寸をみると違うんですよ。作ってみたら思ってたのと違う・・・なんて悲しいじゃないですか。材料代だってかかるのに。
この最初の「どーしようかなー」と考える作業は時間をかけて立案します。ここがしっかりしていると組立なんてあっという間ですから。
設計に関する知識はなくとも構いません。作る本人がわかっていればいいのです。ラフでもいいのでサイズを書き込んだものを用意しておくと頭の中を整理しながら段取りよく作業を進めていけます。パソコンソフトがなくとも、手書きでも大丈夫です。
作っておくと役に立つ設計図
そんな風に考えながら、私が作った幅60cmの本棚の設計図は4つです。
ここまでやる決まりはないですし、好きなようにやればいんですけども。日付をまたいで制作するとか、慣れないうちは丁寧にやっておくと次に作るときのステップアップにも大きくつばがります。
シンプルなものを作るのであれば組立図だけでもわかるかもしれません。
→設計図をPDFでダウンロードする 60cm_bookshelf_sekkei.pdf
→組立図をPDFでダウンロードする 60cm_bookshelf_kumitate.pdf
→木取り図をPDFでダウンロードする 60cm_bookshelf_kitori.pdf
→墨付け図をPDFでダウンロードする 60cm_bookshelf_sumitsuke.pdf
どの設計図もPDFで見られるようにしていますので、気に入ったらダウンロードするなりしてご自由にお使いください。
この設計図を作るまでに至る話は、以下の続きをどうぞ。
材料の決め方。
まず今回は使う材料については、
を大きな基準としました。
使う材料と作り方によってかかる金額に開きが出てくるんですけども、「作り慣れていなくても加工しやすい」ことも念頭に置いて材料を決めました。
外寸は幅638×高さ1000×奥行267mmの本棚で組立イメージはこんな感じです。
ハカマをつけるともっと家具っぽさが増すんですけども、私としては下の方は掃除ができる方がいいので、あえてこの形にしました。脚の部分は10㎝も高さをとれば、掃除機のヘッドがゆっくり入りますしね。
一番上の段は文庫本や漫画本を入れる高さ。2段目は雑誌や専門書あたり。3段目はA4ファイルも立てられて、オレンジページなどの大判の雑誌も入れられる高さで考えました。
数件ホームセンターをめぐりつつ、決めた材料は以下になります。
【使用木材】
- (側板部分)1×4材 6フィート(1820mm)・・・6本 @228円
- (棚板部分)パイン集成材(250×600×18mm)・・・4枚 @709円
- (裏板)シナベニヤ板(約900×600×4mm)・・・1枚 @1080円
- (裏板をとめる)三角棒(10×900mm)・・・2本 @108円
【ビス/釘】
- スリムビス(スリムねじ3.8×55mm)
- パネルピン(釘・化粧板どめ)(38mm)
【その他】
- 側板のビスの穴埋め(隠し釘)・・・Φ8mmの木ダボ
- 棚板の補助金具・・・・特厚L字金具(35mm)12個 @45
【塗装】
- 水性ステイン(ホワイト) 70ml×2本 @731円
- 水性ウレタンニス 350ml 1本 @1200円
ビスや釘、ダボなどの備品はあるものを使うので、主要木材と金具、塗装にお金がかかりましたけども、絞めてだいたい8000円くらいで作れる計算となります。
裏板のベニヤは「シナベニヤ」じゃなくて「ラワン」などの安いものでも十分なのでこだわらなければ、もうちょっと価格を抑えることができるかな。
いずれにせよ多少材料費が上下しても、このサイズであれば1万円もかからずに作ることができるなという計算をしました。
材料の木材を決めるまで。
最初は全部同じ木材で作ることを考えていました。しかし、どれを使うのも一長一短あって悩むわけです。
まず、シナランバーコア材で作ることを考えた場合。
シナランバーの3×6尺(サブロク、910×1820mm)から作るのが一番自由なサイズで作ることができるのですが、自分の環境下では正確なカットをするのが難しいので断念。
次にワンバイ材のみで作る場合。
とっても安上がりな材料なんですけども、扱いにくい面もあるという個性があります。
ワンバイ材は規格が決まっている為、決まったサイズの中でうまく組み合わせて作ることになります。好みの幅にならない場合は板同士をつないで幅のある板を作ることができますが、木材の当たりはずれが多く、もし反りのある木材を使う場合はキレイに板を接ぐのはそれなりに難しさがあります。
幅のある板を作るのは、うまくいかないとガタガタな板が出来上がってしまうという切ない面も持ち合わせているので、使いどころは考える必要があるのです。
そして、パイン集成材のみで作る場合。
裏板以外は全てパイン材を使えば、面倒な計算をしなくてすむんですけども、カットされているパイン材の長さが600mmの次は910mm、1820mmと微妙に好みの長さと会わなかった為に側板でパイン材を使うのはやめようということに。
1820mmを買ってお店でカットしてもらえればよかったんですけども、販売していたお店はカットサービスはしていないところだったんですよね。これくらい自分でカットすればいい話なですけど、持ち帰るには難儀でして長いのをカットして使うのは断念しました。
なお、各木材の特徴については以下の記事をご参照ください。
使う木材は1種類にこだわらなくてもよいのでは。
棚板にワンバイ材を継いだ板を使うとフラットな板ができないために、本の収まりが悪くなるのではないかと考えていましたが、棚板じゃなくて側板にワンバイ材を使うなら問題ないじゃないかと思いつきました。
よくよく計算したら、全部同じ木材にしなくても側板をワンバイ材にして棚板をパイン材にしてもよいのではないかと。
パイン集成材(250×600×18mm)を棚板に。側板は高さは自分で決められるワンバイ材で。
ただし、規格の決まった別々の木材を使用した場合、奥行分が合わない問題が発生してしまいます。
なので、ワンバイ材のサイズ表を作り、一番しっくりくる奥行を作れるのはどれになるのかを考えました。
↓ワンバイ材のサイズ表
厚さ×幅(mm) | 2枚分の幅 | 3枚分の幅 | 4枚分の幅 | |
---|---|---|---|---|
1×1 | 19×19 | 38 | 57 | 76 |
1×2 | 19×38 | 76 | 114 | 152 |
1×3 | 19×63 | 126 | 189 | 252 |
1×4 | 19×89 | 178 | 267 | 356 |
1×6 | 19×140 | 280 | 420 | 560 |
1×8 | 19×184 | 368 | 552 | 736 |
1×10 | 19×235 | 470 | 705 | 940 |
うーむ、めんどくさいですね。面倒だけどできるだけ金額を抑えようと考えると、ワンバイ材を使いたくなってくるのであります。
やもなくなんだかんだと計算してみて、板を継いで作るワンバイ材の板で奥行250mmに近いサイズは、1×4を3枚つなぐとできる19×267mmのサイズ。これを使うことに決定しました。
裏板のベニヤ板については「600×900mm」のちょうどよいサイズでが売られています。なので裏板はほぼ加工なしでそのまま使うことができます。
さて、ここで問題が出てくるわけですが・・・
パイン材を使った棚板の奥行は250mmで、ワンバイ材をつないだ板を使った側板の奥行は267mm。ここのサイズは合わないと困るのではないかと思いきや、それが大丈夫なのです。どういうことなのかといいますと・・・そこは設計図の方で説明します。
使う木材でどれくらい金額が違ってくるのか。
面倒だから全部パイン材で作っちゃえばいいじゃん、っていう気持ちにもなりますけども、一応、棚板と側板で使う木材を別々にすることで少し価格は抑えられています。
価格を計算するとパイン材は側板1枚につき1000円近くかかるのですが、ワンバイ材を使うと側板1枚約700円程度で収めることができます。(ワンバイ材6フィート@228円だった場合)
また、6フィートを買うと大きすぎてどうしても「余り」が出ますが、残った材料は後で別のものを作る予定なので、後に作る物へ材料を回すことができると考えるとかなり安い買い物になります。板を継ぐのは若干面倒ですけども、必要な道具さえそろっていればなんとかなるので、長い目でDIYをしていくことを思えば、ワンバイ材を使うのも悪くないんですよね。
ちゃんとした設計図を作ってみる。
というわけで、少し複雑な本棚になってしまうので細かいことは設計図で説明します。
どんなものを作る場合でも設計図をつくると、見えない場所の形もはっきりとしてきます。面倒かもしれませんが、あればあったで次のDIY作りにも役立ちますので作ることをお勧めします。
今回の本棚のポイントは、側板と棚板を配置した時に奥行が一致しない点です。ここは実際に図に書いてみるとわかりやすいのではないでしょうか。
設計図
→設計図をPDFでダウンロードする 60cm_bookshelf_sekkei.pdf
図の上側が本棚の前面になります。
棚板と側板の奥行が一致していないと、前か後かをずらしてつけることになりますが、この場合背面をずらす方が気にならなくなります。裏板は側板の側面にも一緒に打ち付ける形にするのではなく、裏板と棚板は側板で挟んで窪ませる形にします。
そうすると両サイドに隙間ができて強度があまり期待できなくなりますけども、棚板部分に釘を打ち付け、さらに角棒を使ってボンドで固定すると壊れにくさはぐっと増します。(たぶん)
組立図
→組立図をPDFでダウンロードする 60cm_bookshelf_kumitate.pdf
背面がぴったり合っていなくても、ズレは17mm程度なので組み立ててみると案外気になりません。裏板の厚さ分(4mm)でさらに窪みは浅くなり、計算上は13mmだけちょっとズレることになるんですけどね。
サイズを合わせるためにワンバイ材で作った側板をカットするのも一つの手ですが、電ノコでも持っていないと100㎝の長さをきれいに切り落とすのは大変です。慣れていないからこそ、あまり自分でカットしないように組み立てて見栄え良く完成させようというねらいなのです。
木取り図
組立のイメージをもとに、木取図と墨付け図も作っておくとなおよしです。
ワンバイ材は6フィートを図のように少し大きめにカットし、
3枚つないだ後で両端を切りそろえるようにします。
→木取り図をPDFでダウンロードする 60cm_bookshelf_kitori.pdf
墨付け図
墨付けは、棚板を付ける位置を書いておきます。
裏板のベニヤにもどの位置に棚板がくるのかを書いておけば、最後に釘を打ち付ける場所がわかります。
→墨付け図をPDFでダウンロードする 60cm_bookshelf_sumitsuke.pdf
なお、どの図もPDFで拡大表示できます。ダウンロードもできますのでご自由にお使いください。
幅600×高さ910×奥行250の棚なら簡単に作れます。
ちなみに私が作ろうとしている本棚は高さが1000mmのものですが、棚の高さを910mmで考えると、そのままのサイズのパイン材が売られているので、カットの必要なく本棚を組み立てることができます。規格のサイズのままで本棚をつくるのであれば、そんなに加工せずとも比較的リーズナブルに作れる場合もあります。
オリジナルの本棚づくりは好きなサイズで作りたいものですが、もし棚の高さにこだわりがなければ作りたい本棚のサイズについてここでまた考え直してみるのも悪くないと思います。
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